歌 姫

佐保過ぎて 寧楽の手向に 置く幣は 妹を目離れず 相見しめとそ (長屋王 3−300)

添御県坐神社(歌姫神社)

長屋王の妻、吉備内親王への思いを詠んだ歌。大和から山城へ抜ける官道、歌姫街道の峠に神社がある。添御県坐神社という。大和と山城の国境沿いの神として、古くから崇拝されてきた。古代人は旅の安全を願い、神社にお参りするのである。
 今も神社の前の道は、車が対向できないような狭い道だが、24号線の抜け道となりひっきりなしに車が通る。先を急ぐドライバーは、ここに国境の神様がいることを意識もしない。広くない境内であるが、古木が生い茂り、風格を感じさせる社である。

長屋王歌碑

長屋王も山城へ行く際、この道を通り、この神社にお参りしたのだろう。妻のことを思いながら。

長屋王邸跡