口縄坂

口縄坂

お隣の源聖寺坂

この界隈には素敵な坂がいくつか残っている。坂の存在は町を豊かにしてくれると思う。織田作にとって口縄坂や源聖寺坂は青春そのものであったが、私にとってもこのあたりには青春の思い出がいっぱいつまっている。学生時代、何回も何回もこの坂を歩き、色々なことを考えた。
 織田作は、上汐町の自宅からこの坂を下ってミナミの町に通ったのだが、「木の都」の中に、女学生への淡い恋心を綴った場面がある。「坂の上に佇んでいた私の顔が、坂を上ってくる制服のひとみを見て夕陽を浴びたようにぱっと赤くなった」とある。
 夕陽丘高等女学校は、当時口縄坂の中段にあった。

「木の都」文学碑

薄暗い口縄坂の真ん中に立っていると、下から織田作が歩いてきそうな気になってきた。

夕陽丘高等女学校跡碑

大阪文学散歩もど記