四つ橋筋が長堀通と交差する地点に、かつて独特の四つの橋が架かっていた。長堀と西横堀がここで十文字にクロスし、東西南北に橋が架けられていた。上繋橋、炭屋橋、下繋橋、吉野屋橋である。
戦後の高度成長期に、長堀も西横堀も埋め立てられてしまい、橋も四つとも消滅してしまった。昔の名所図絵を見ると、船の往来も絶え間なく、まことに風情ある眺めだ。
現在は交差点の中にグリーンベルトがあり、そこに四つの橋のミニチュア設置されて当時をしのぶ。
さらに阪神高速道路の下に、二つの句碑が建っている。
後の月 入て貌(かお)よし 星の空
この涼しげな句碑の上には、無粋な道路橋。大阪の景観を駄目にした最大の元凶は、阪神高速道路と川の埋め立てだと思う。ここ四つ橋に、象徴的に現れている。大阪も北浜あたりには、すばらしい明治建築がいくつか残っている。でも蛇のような高速道路がすべてを台無しにしている。京都の町中には、少なくともこんなものはない。
四つ橋
涼しさに 四つ橋を四つ 渡りけり
小西来山
上島鬼貫
大阪文学散歩もど記