大阪文学散歩もど記
〜土佐稲荷神社〜
学生時代から、西長堀の大阪市立中央図書館によく通っている。その中央図書館の近くに、土佐稲荷神社が鎮座ます。桜の名所として有名で、花見の頃は大勢の人で賑わう。
このあたりに土佐藩の蔵屋敷があったので、土佐稲荷という。明治5年、土佐藩士が堺でフランス兵を殺害する事件があり、20名の藩士が切腹の命を受ける。このとき、この土佐稲荷で関係者がくじ引きを引いて20名を決めたという。翌朝、その20名は堺に護送され、処刑された。さぞかし壮絶なくじ引きだったろう。
そのような血なまぐさい事件の舞台であったことなど想像もできないほど、境内には誰もいない。其角の句碑があると聞いてやってきたが、なかなか見つからない。本殿の奥の方でやっと発見。
明星や桜定めぬ山かつら
境内には誰もいないと思っていたが、句碑の前でかわいい男の子が一人で遊んでいる。私が句碑の写真を撮っていると、遠くから母親がこわい顔をして走ってきた。