大阪文学散歩もど記  〜聖天山〜

松虫通りを西へ行くと、やがて聖天山の森が見えてくる。昔からの景勝地で、山の上には正圓寺というお寺がある。山と言っても小高い丘程度のものだが、少し息を弾ませてお参りに来られる方が何人かいた。現在は「天下茶屋の聖天さん」として名高い。

正圓寺の参道脇には、「兼好法師藁打石」の石碑が建つ。「徒然草」の著者兼好法師は、このあたりで隠棲生活を送り、藁を打ち筵を織る日々を送ったと伝えられる。江戸時代の俳人服部嵐雪が詠んだ、「兼好もむしろ織りけり花ざかり」の句碑もある。
 暮れ始めた聖天山を後に、上町台地の西側断崖下の古道を歩き、阿倍野斎場を上に見ながら天王寺の駅まで歩いた。