奈良の鹿
夏野ゆく 牡鹿の角の 束の間も 妹が心を 忘れて思へや (柿本人麻呂 4−502) 万葉集では、奈良の鹿が約60首も詠まれているそうだ。 牡鹿の角も成長し、若々しく美しい。東大寺境内を歩いてみたが、立派な角をもった牡鹿が何頭もいた。やはり風格がある。 この歌にあるように、牡鹿が立派な角を誇る期間は短い。秋になると、奈良の恒例行事「鹿の角きり」で、おおかたの牡鹿の角は切られてしまう。行事に参加しない不良鹿の角も、やがて生え替わってしまう。