味酒(うまさけ) 三輪の山 青丹よし 奈良の山の
山の際(ま)ゆ い隠るまて 道の隈 い積もるまてに
つばらかに 見つつ行かむを しばしばも 見放(さ)かむ山を
心なく 雲の 隠さふべしや
三輪山を しかも隠すか 雲だにも 心あらなむ 隠さふべしや
(額田王 1−17、1−18)
飛鳥から近江へ向かう天智天皇、額田王の一行が、山辺の道を北に進み、曲がり角で振り返りながら、三輪山への郷愁を歌う。山辺の道南半分は、三輪山が最大のテーマだと言っても過言ではない。
景行天皇陵を過ぎ、歌碑を探しながら歩いていると、三差路を曲がった道ばたに歌碑が突然現れ、同時に三輪山が目の前に迫る。ここまで来るともう手に届きそうな間近にある。今日も結構雲が厚い。それにしてもすばらしい眺めである。本日初めてハイカーに出会う。同年齢のおじさんであった。