百済野の 萩の古枝に 春待つと 居りし鴬 鳴きにけむかも
    (山部赤人 8−1431)

広陵町に入り田園地帯を行くと、美しい三重塔が見えてくる。百済寺の塔だ。こんな田舎に、と言っては失礼だが、このように堂々とした塔が存在することに大和の底力を感じる。この寺も由緒をたどると、聖徳太子建立の百済大寺という寺に関係するそうである。
 


それにしても大和平野の中央部には、万葉集に登場する土地がほとんどない。田畑ばかりで、人が集まる場所ではなかったからだろうか。見事な青田が広がっている。実りの秋にもう一度訪れてみたい。
 


この歌は、春を待ち遠しく思う気持ちがテーマ。春を待っていた百済野のウグイスはもう鳴いているだろうか。萩の古枝にとまっていたウグイスよ。 つまり、作者は百済野にはいないわけである。

百済野遠望
歌碑
百済野

百済寺三重塔