伊久里の杜
妹が家に 伊久里(いくり)の杜の 藤の花 今来む春も 常かくし見む (高安王 17−3952)
伊久里の場所については諸説あるらしいが、奈良市南部の穴栗神社付近がそのひとつである。富山県や新潟県にも候補地があり、万葉故地の称号を得んとして本家争いをしているらしい。
穴栗神社を訪れる。奈良市内に、こんな静かなたたずまいの神社があるとは知らなかった。万葉集に詠まれた「伊久里の杜」は、ここだと主張している。やや木の数は少なくなっているのだろうが、今も「杜」の名に恥じない、うっそうとした雰囲気を残している。地域の信仰に根ざした社なのだろう。何人かの方が、本殿に手を合わせて立ち去って行く。万葉歌碑は地元の自治会が中心になって、六年前に建てられたとのことである。
本家 伊久里の杜
穴栗神社