斑鳩
斑鳩の 因可(よるか)の池の よろしくも 君を言はねば 思ひそ吾がする
(不詳 12−3020)
万葉集に斑鳩の地を詠んだ歌は、この一首しかない。この歌も「因可の池」を序詞にしただけで、直接この地を詠んだ訳ではない。万葉人はなぜ斑鳩の地に興味を示さなかったのだろう。何か不思議な気がする。それとも家持が意図的に集録しなかったのだろうか。
犬養先生揮毫の碑が建つ、上ノ太子遺跡公園を訪ねる。今にも降り出しそうな雨模様の朝。斑鳩の地も、家が建て込んできて見晴らしも悪くなってきているが、矢田丘陵の先端部分が眼前に迫り、平野部にすとんと落ちている景色は今も昔も変わらない。世界遺産法隆寺をはじめ、一級の文化財が集中する。
などと考えていたら、集中豪雨に遭う。公園で雨宿りしていたら、掃除に来られた地元のおばちゃんに出会う。カバンを包んで濡れないようにしなさいと、わざわざビニール袋を取りに行って下さる。何ともうれしい体験をしたものである。やんだのでお礼を言って法隆寺に行く。
北側に、「因可の池」ではないかと言われている天満池がある。
法隆寺
法起寺