東の市
東の 市の植木の 木垂(こだ)るまで 逢はず久しみ うべ恋ひにけり (門部王 3−310)
平城京の南に、東西の市があった。東の市は現在の奈良市西九条町のあたりと言われている。辰市小学校、辰市神社などの名前が残っている。
平城京の八条通りに面する辰市神社を訪れる。風の音だけが心地よい。周囲は青々とした稲田、マンションが建つ。市の跡はわからないが、神社の参道には樫の木が植えられていて、中央に向かって緑のトンネルを作っている。この樫の木が垂れ下がるまで、久しく会わなかった彼女への思いは募るばかりである。
辰市の集落
辰市神社
歌碑