平城宮跡
あをによし 奈良の都は 咲く花の 薫ふがごとく 今盛りなり (小野老 3−328)
あをによし 奈良の都に たなびける 天の白雲 見れど飽かねど (遣新羅使人 15−3602)
大極殿跡から東を望む
大極殿跡にて。奈良の眺めはここからが最高。よくぞこれだけの広い場所を保存して くれたものだと思う。周囲に何もないのがいい。東西南北それぞれに見どころがある。
北は平城山の丘陵がなだらかに続く。東山が何重にも重なって続いている。大仏殿も二月堂も五重塔も遮蔽物なしに見える。南は遠く平野が広がり、西は矢田丘陵を前にして 生駒山が真一文字に奈良盆地を見下ろす。天平時代の人々も、ほぼ同じ景色を眺めていたのだろう。現代にもこのような空間が残されており、天平の風を感じられるのは幸せなことである。
奈良の都を賛美した歌であるが、これらは二首とも現地に立って詠んだ歌ではない。 奈良を離れ、心細く寂しい思いを胸に都を思う、望郷の歌である。
朱雀門
歌碑(奈良市役所)