元明・元正陵
飛ぶ鳥の 明日香の里を 置きて去なば 君があたりは 見えずかもあらむ (元明天皇 1−78)
元明天皇陵
元正天皇陵
元正陵からの眺め
奈良ドリームランドの近く、交通量の激しい道をはさんで、奈良時代初代元明天皇陵と二代目元正天皇陵の母子の陵がひっそりと眠る。二代の女帝が佐保山の地に、仲良く並んで眠っている。政治的にも様々な苦労をされたであろう二人の女帝の存在が、この佐保山というやわらかい名前をもつ地によく似合う。
元正陵の西側には青々とした稲田が続き、赤米といわれる古代米を栽培されている農家もおられる。明治時代の地図を見ると、二つの御陵にはさまれたこの道は、大仏鉄道という鉄道が走っていた。100年前には、のんびりとした蒸気機関車の汽笛の音が聞こえていたのである。
この歌は佐保山の地を詠んだものではなく、平城京への遷都の一行が大和平野の真ん中あたりに進んだころに詠んだ歌である。飛鳥の地から離れ、亡き夫草壁皇子の墓も見えなくなってきた。作歌の地ではないかと言われている、天理市井戸堂に歌碑がある。