藤原宮跡

     春過ぎて 夏来るらし 白妙の 衣ほしたり 天の香具山
                           (持統天皇 1−28)


広々とした藤原宮跡。香具山が手の届きそうな所にある。空あくまで青く、初夏の陽に萌える山の緑、風になびく白い衣。あーもう夏が来たようだわ。

この歌の解釈も諸説あるようでよくわからないが、スケールが大きく、さわやかな歌と考えておく。忙しい公務の合間に、天皇は初夏の風を感じた。夫天武の死後、後継者をめぐって陰謀をめぐらし、甥の大津皇子を死に追いやる。愛する我が子、草壁皇子も若くして死亡してしまう。野望と悲しみの果てに自ら帝となった持統は、どのような思いで香具山を眺めたことであろうか。北側の醍醐池のほとりに、香具山を向いて歌碑が建つ。

大和三山を頂点とする三角形のちょうど真ん中に藤原宮はあるが、香具山、畝傍山がよく見えるのに、池の木立に邪魔されて耳成山があまりよく見えない。

歌碑 

香具山