芭蕉の場所を追いかけて(大和編)

おん目の雫ぬぐはばや の巻


 貞享五年(1688年)4月、「笈の小文」の旅の途中に唐招提寺を訪れる。唐招提寺といえば鑑真さん。聖武天皇の招請により来朝をめざすが、航海の失敗を繰り返し、ようやく来朝したときには両眼を失明されていた。初志貫徹、不撓不屈、執念の人、不退転の人、鉄人ですね。
 目を閉じられたままの和上尊像が御影堂に安置され、毎年6月の3日間だけ公開される。芭蕉さんも、和上の鉄の精神にあやかりたいとの思いで寺を訪れる。


近くの塔頭寺院。百日紅満開。
唐招提寺南門。入ります。
世界遺産じゃけん。
現在金堂の大修理工事中。寺運を賭けた大工事で、完成は3年後。
修理の様子が少しだけ見えました。
裁判が行われた戒壇です。
戒壇の前の蓮池。
開山堂です。手前に芭蕉さんの句碑。
〜若葉しておん目の雫ぬぐはばや〜

 芭蕉さんの和上への誠実で真摯な思いがよく表れています。
 「おんめのしずくぬぐわばや」というフレーズが、やさしく、格調高く、しっとりと落ち着いたリズム感もあって大好きです。
白萩の花が咲き始めていました。
和上の御廟に向かいます。
 寺のはずれに、和上がひっそりと眠っています。
 巨大な金堂の覆屋。堂々とした金堂の姿を早く見たいものです。