芭蕉の場所を追いかけて(大和編)

四万五千九百九十九日分お得 の巻


貞亭二年(1685年)2月、「野ざらし紀行」の折、芭蕉は東大寺二月堂の水取の行を拝観する。

〜水取りや氷の僧の沓の音〜

ピーンと張りつめたきびしい冷え込みの中で、修行僧たちは空気を切り裂くような激しい沓音を響かせ、走りの行法を実践する。芭蕉はその一瞬を切り取った。


二月堂への裏参道。
二月堂。有名なお水取り行事(修二会)では、毎晩お松明が出ます。上の舞台を松明が走り、激しく振り回します。
本来松明の役割は、練行僧が夜の行法に向かう際に、足元を照らすためのものでした。だんだんパフォーマンスが過激になっていった訳です。
本堂の北側に「龍王の瀧」があります。その前に芭蕉さんの句碑が立っています。
〜水取や籠りの僧の沓の音〜

句碑では「氷の僧」ではなく、「籠りの僧」になっています。これにも論争があったようですが、現在では「氷」がほぼ定説になっています。
これが龍王の瀧。元気ありません。
この日は功徳(およく)日と言って、一日で四万六千日分の御利益があると言われている有り難い一日です。
仏教は大げさな数字をよく使いますね。宇宙規模の思考をされるんでしょうか。
私はせこいので、「やった!四万五千九百九十九日分得した」と思ったんですが、よく考えたら(計算したら)、そんなに生きてられないですね。
舞台の上からの眺め。大仏殿。
あの白い山もなくなります。
莫山先生の書です。何て読むのかな?
お隣の三月堂(法華堂)です。
そのお隣の手向山八幡宮です。
若草山山麓に芭蕉さんの句碑があります。

〜奈良七重七堂伽藍八重桜〜

漢字を並べて独特の味わいがあります。芭蕉の作ではないという説もあるようです。