香具山

           大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山
          登り立ち 国見をすれば 国原は 煙立ち立つ
          海原は 鴎立ち立つ うまし国ぞ 蜻蛉島 大和の国は
                               (舒明天皇 1−2)

香具山の中腹まで登る。まだそれほど展望はきかないが、真正面に耳成山。藤原京もほど近い。青々とした栗が鈴なりで、秋の気配を感じる。途中の稲田は、早くも稲穂に実をつけ始めていた。
 
大和に多くの山あれど、香具山に登り国見をすれば、この地は自分が支配していると実感できたのだろうか。地上には炊煙が立ち、海上では鴎が飛び回っている。本当に大和の国は美しい。いくら何でも香具山から海は見えないので、これは「国のすべてを見ているぞ」という、たとえ話でしょう。
 
ここに登るだけでも汗が噴き出てしまったが、大和三山のひとつに初めて登ることができ、とてもうれしい。
天香具山神社、天岩戸神社と回り、東側の中腹にある「万葉の森」を訪ねる。歌碑が八基も建つが、園内に植えられた植物にちなんだ歌を載せている。観光コースから外れていて、広い園内に誰もいない。芝生に座り込んでいると、鳥の声、ひぐらしの声が聞こえてきて、いい気分になる。

堂々とした歌碑

はるか二上山を望む