甘樫丘
采女の 袖吹きかえす 明日香風 都を遠み いたづらに吹く
(志貴皇子 1−51)
飛鳥から藤原へ遷都される。采女達の袖をひるがえしていた飛鳥の風も、今は都が遠いので、空しく吹いている。
甘樫丘に登り、飛鳥の風を感じに行く。飛鳥古京を一望する展望台。青田の中に、人々の里がひっそりと軒を並べている。時折、飛鳥寺の鐘の音が響く。ゴーン。大和三山は距離が近すぎて、あまりよくない。香具山の右肩の向こうに、桜井の箸墓がぽっかりと浮かんでいる。畝傍山の独特の稜線の向こうには、ぼんやりとM字型の二上山の稜線が浮かぶ。 采女達の袖に吹いた風が、時折私にも吹いてきて心地よい。ひっきりなしに人々が登ってくる。
歌碑